私は生来歯並びが悪く、また歯科に関する知識も乏しかったので、長い間に歯周病が進行してしまいました。歯茎が腫れると抗生剤を飲み、ぐらぐらしたら抜歯という悪循環で、ついに73歳で上顎は歯牙14本中13本喪失、下顎は4本喪失で、他の歯も不完全な状態に陥ってしまいました。そのうえ上下の義歯も不都合で、食べ物が挟まったり、噛み方が偏っていたり、義歯の金具が見えたりで、会食に誘われても断るしかなく、話す時も口元を気にして手で隠すという状態でとても悩んでいました。
昨年6月、以前受講した九州大学公開講座で歯に関する講義があったのをふと思い出し、思い切って歯学部のT教授に電話をかけました。T先生は快くインプラント担当のM先生を紹介してくださいました。そこで九大歯学部病院を受診し、M先生からインプラント治療について写真などを見せて頂きながらわかりやすい説明がありました。歯科インプラントは優れた治療法であり、とくに近年材料や術式の進歩が著しいこと。全身状態が良ければ年齢に関係なく安心して治療を受けられること。治療費はすべて自費負担であること等です。私は会社勤務なので土曜日の治療を希望しましたら、なんと私の住居のすぐ近くの森本歯科医院を紹介してくださいました。院長の森本先生はM先生の尊敬する同教室の大先輩とのことでした。

平成14年7月6日、初めて森本歯科を受診しました。待合室に掲げられた認定医、指導医などの証明証、大学や歯科医師会などからの多くの表彰状や感謝状を拝見しまして、森本先生がインプラント治療のパイオニアのひとりであることを知り、先生にお任せしようという気持ちが固まりました。
まず九州大学でCTを撮影し、森本先生による顎骨検査をなんとかパスし、お盆休みを利用して手術を受けることになりました。日頃病院に無縁の私はドキドキでしたが、局部麻酔のおかげで無痛、約2時間ほどで無事3本のインプラントが右の下顎に埋め込まれました。当日は術前の準備から術後の止血確認まで約4時間かかりました。

私以上に先生も衛生士さんもお疲れになられたことでしょう。お盆休みの間も時々消毒の処置を受けました。術後はできるだけ安静にするようにと言われ、しばらく流動食ばかりでしたので予想外の便秘になったほかは、痛みや発熱もなく、腫れも思ったより少なく順調に経過しました。その後、上顎の義歯の作り変えや下顎の残りの歯の大修理を行いながら、左の下顎にインプラント1本を追加して頂きました。老後のための少しの蓄え、老い真っ只中を元気に生きる為に使おうと決めてすがすがしい気持ちでした。

明けて平成15年3月19日、ついに義歯とブリッジの最終の調整で約9ヶ月に及んだ"平成の大修理"は完。鏡に映るきれいな上下の歯、まるで別人です。
今は月1回のメンテナンスで先生から噛み合わせをみて頂いたり、衛生士さんから歯磨きの細かい指導を受けています。今ではすっかり慣れて違和感もなくしっかり噛みしめる食事のおいしさ、おかげで料理のレパートリーもずいぶん増えました。
インプラントの歯を含めこのいとしい歯を大切に守っていくことがこれからの私の役目と思っています。仕事に趣味に運動に、自分なりに充実した高齢期が送れそうです。